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Microsoft Build 2017、初日基調講演はAzure新サービスなどを発表

2017年05月12日 11:40

米Microsoftが開発者向けの年次会議Build 2017を開幕した。例年、サンフランシスコでの開催だったが、今年は同本社のおかれた米・ワシントン州レドモンドに隣接するシアトルに場を移しての開催だ。いわば、お膝元での開催となったBuild 2017、ここではその初日基調講演を振り返ってみよう。

モバイルファースト、クラウドファーストを再確認

初日の基調講演の冒頭に登場したのは同社CEOのサティア・ナデラ氏。モバイルファースト、クラウドファーストを改めて確認し、シアトルとしては珍しいとされる爽やかな初夏の日差しを話題にしながら、「こんな晴れた日にコンピュータの話で何だが」と、会場の笑いを誘った。

 まずは、数字で見るMicrosoftの一環として、Windows 10の月間アクティブデバイス数が5億台に達したこと、また、Windowsはもちろん、OfficeやAzureが開発者に10億以上の機会をもたらしているとした。かつての同社であれば、×億本を出荷したという数字を挙げていたところだが、現在は、出荷したことよりも、どれだけ使われたかに注目するようになっているようだ。

ナデラ氏は、世の中に膨大な量のデータが溢れていることを指摘し、これは開発者にとって大きな機会でもあるとした。

 また、AI Everywhereの時代となりアプリケーションのパラダイムが今変わりつつあるという。それがニューワールドの現実であり、ユーザー体験は複数のデバイス間を横断、誰も1つのデバイスにこだわらなくなるマルチデバイス体験が浸透しつつあるとナデラ氏。SANDVIKによるAzureとAzure IoTを組み合わせることでAzure IoT Edge クロスプラットフォームを実現した事例などをあげながら、何が起こるかわからない仕事の現場において、それをITの力で回避するテクノロジーの登場を紹介した。

 これからの世の中は、人々の関係をはじめ、あらゆるモノとモノの間の関係が数値化され、マルチデバイスとインテリジェントクラウドによってフォローアップされる。そして、クロスコンテクスト、クロスデバイスによるミーティングスペースの最適化や、コルタナとの会話でミーティングを段取りするボットフレームワークなどが提示された。

 ナデラ氏は、とにかく世界を変えようと5,000人を超える会議参加者を激励した。

Azureに続々と新サービス登場

続いて登場したのは、Scott Guthrie氏。新卒でMicrosoftに入社し、同社史上最年少で上級副社長の座についた精鋭だ。Cloud and Enterprise Groupを掌握し、Microsoftのクラウドファースト戦略を仕切る人物で、開発者向けのカンファレンスではいつも赤いシャツを着て登場し、会場を沸かせる。

 Guthrie氏は、Azureはみなさんの成功を導くプラットフォームであるとし、イノベーション+トラスト+結果を構成する用途としての新しい機能群を次々に紹介した。

 Azureクラウドシェルの紹介では、iPhoneでクラウド管理をする様子がデモされた。シェルセッションですらiPhoneの小さな画面で完結する。デモなどのあらゆるところで登場するiPhoneは、もはや、Microsoftの標準デバイスといえるような様相だ。

また、クラウドのためのデータベースともいえるAzure Cosmos DBはニーズに合わせてスケールする。また、Azure Database Migration Serviceによって、OracleやSQL Serverからの移行をサポートする。これらの早期導入事例として、jet.comやアラスカ航空の事例が紹介され、Azureが、サーバーレスコードによって、あらゆるものを解決することが強調されていた。

 また、Gathrie氏は、Visual Studio 2017 for Macの一般提供開始についても言及し、WindowsとMacの環境の違いを気にせずに、シームレスな作業によってAzureのフル機能を活用できることをアピールしていた。

もはやMicrosoftはWindowsに強く依存した会社ではなく、開発者のためのあらゆるツールを提供するプラットフォーマーとして、既存のあらゆる開発環境をシームレスに連携させることを最優先に推進する企業に生まれ変わっていることを再確認したかたちだ。

AIが増幅する人の知恵

基調講演の最後に登場したのはHarry Shum氏。Microsoft Reseach出身で、Bingの開発にあたって陣頭指揮をとったことで知られる。同社AI戦略は、この人なしには語れないとも言われる天才エンジニアの誉れ高い人物で、現在の肩書きはArtificial Intelligence and Research Group担当上級副社長だ。

 Shum氏は、コグニティブサービスを例に、MicrosoftのAIは人間の知恵を増大させるとし、開発者はAIをあらゆる面で活用すべきであることを強調した。そして、Microsoftは、そのために、コグニティブサービスのプラットフォームカンパニーとして、さまざまなサービスを提供するとして、新たに加わることになった数々のサービスを紹介した。

 コグニティブサービスは、2年前のBuildで発表されて以来、あらゆる場面で利用されてきているが、この日はVideo IndexerやCognitive Services Labsなどが新たに追加されたことが明らかになった。これらのサービスを使った例として、コグニティブサービスとボットフレームワークを組み合わせたカンバゼーショナルAIも紹介された。

 デモでは、PowerPointに組み込んだ翻訳サービスが、リアルタイムで認識した音声を別の言語にしてテキスト化する様子も紹介されていた。数年前からMicrosoft Research Asiaで開発が進められてきたものだが、いよいよ本格的なデビューを果たすようだ。すでに日本ではSkypeでの活用事例として紹介されている。

 Azure+AIで何ができるか考えようとShum氏はいう。そして、データを使ってあなたのビジネスを再構築しようと発破をかける。

 基調講演の中では、新たなハードウェアとして、IntelとHPがCortana活用の専用機器として開発したハードウェアについても言及されていたが詳細についてはまだわからない。

 Shum氏は、未来を予測するもっとも簡単な方法はそれを発明することというAlan Kayの有名な言葉を引用し、Microsoft AIはAmplify Human Ingenuity 、つまり、人知の増幅をAIでかなえようと呼びかけて基調講演を終えた。

 2日目の基調講演は、次期Windows関連、HoloLensとMR関連などについて、どちらかといえば、従来的なMicrosoftの一面がアピールされることになっている。引き続き、注目しておきたい。

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